こんな僕でも俳優養成所に通っていた。
唐さんのところへ行く前、まだ未成年の頃だった。
19歳の生意気盛りの僕はいくつも年上の仲間たちと一緒に酒を飲み、タバコを吸い、そして大人の仲間に入れてもらっていた。
今とは違って引っ越せばすぐに電話番号がわからなくなるような時代だったから、当然いつのまにか疎遠になった。
あれから30年、facebookで繋がって右端の山口雅義さんが大阪で舞台公演をやるというのを聞きつけた。
「子供のためのシェイクスピア」と題していたが、大人も楽しめるとても面白い舞台だった。
出演者たちは皆さん芸達者で大人も子供も声を出して笑ったりドキドキしながらあっという間に時間は過ぎた。
当時、芝居ってなんだろうなんて今ほど考えていただろうか。
食えなくて泣きそうになりながらいた二十代、芝居や映画に明け暮れ、がむしゃらを美学にしていた三十代、それでも芸の深さを知りたくて躍起になった40代、そして50歳を目前にしたこの再会で僕はまだまだ頑張らねばならない事を痛感した。
山口さんも芝居を必死でやり続けてきた一人である。
その証だろうか、芝居には30年間の生き様がしっかりと刻まれていた……。
いつかまた会える日が来るのだろう。
そしてその時も思うのかもしれない。
まだまだ僕は頑張らねばならないと……。