僕の役者人生は演劇から始まった。
若手役者がすべからくそうであるように、僕もぜんぜん食えなかった。
そこで映像に転向するしかなくなって、先輩の現場に連れてってもらっては必死に映像の芝居を勉強した。独学でだ。
芝居は舞台も映像も同じでしょ、なんて思うかもしれないが、それは大きな間違いでドラマや映画をやると分かり始める。
いや、違うという事だけが分かり始めて理解できるのはずっと後だ。
映画をやって怒られ、舞台をやって違うと言われ、そしてまた映画をやって自分の芝居に幻滅する。
その繰り返しを経て、もしかするとこういう事かとその芝居の違いを使い分け始めた。
でも、若手俳優たちには僕と同じ道を歩ませるわけにはいかないから、ここ最近その違いを大学では教えている。
今回のMANHOLE THEATER 「タクシードライバー」には大学の教え子たちが2名ばかり出演する。
二人が大人たちとどれだけ勝負できるかは僕の中でも大きな楽しみになっている……。