2014年9月30日火曜日

チャンス

若い頃、映画の世界に入りたかった。
でも、なぜか演劇の世界にどっぷりと漬かっていた。

劇団を辞めてから、事務所を探して小さいながらも面倒を見てくれるところに所属した。
芳雄さんに出会う前だ。
そこで色々な人と出会った。

チャンスは平等に転がっているなんて思わなかった。もちろん今も思っていない。

でも、チャンスは誰にも必ず見えるとは思っている。それが自分のチャンスかどうかはわからないが。
だからチャンスに出くわした人間を羨ましく思ったりする。

たまたまその場所に居なければ、チャンスを奪い合うことすら出来なくなる。

貝殻を集めるなら海に行く。
樹を求めるなら山を歩く。
チャンスのありかは人にある。

人はチャンスのありかを教えてくれる。 それは求めるからだ。
求めるものにだけ、人は教える。

チャンスは運ばれてくると考えてはならない。誰かのもとに運ぶのだ。
チャンスを求めている者に運んでやるのだ。

するとその誰かも必ず自分にチャンスを運んで来てくれるものだ。

それが幸運と言う奴だ。
僕は芳雄さんと出会い、さらに多くの出会いを貰った…。







2014年9月28日日曜日

金木犀

先日、下鴨神社の手作り市を見に行った際、妻が参道の金木犀を撮っていた。


金木犀の周りには甘い香りが漂っていて、僕は妻が興味深く写真を写す姿をじっと見ていた。


妻は写真が好きで撮るのも上手で、時々僕が撮るいい加減な写真を見て笑ったりする。


僕の写真はピントが合ってなかったり、頭が切れてたり、中心がズレてるので、バカにすると言うより呆れるそうだ。


それから、僕らはお腹が空いたので出店していた沖縄そばを食べていた。


すると妻は今度はもっと大きな金木犀を見つけたようでもう一度撮りに走った。


だが、戻ってきた彼女は渋い表情で上手く撮れなかったと嘆いていた。


そんなに何をこだわるものかなあ、と心の中で呟くがそれは口に出してはならない。


しばらくして彼女が言った。
義母さんが亡くなった頃も金木犀が香っていたよね、と。


全く覚えてなかった。
「そうだった?」と返す僕に、
「忘れた?」と彼女は言った。


忘れるも何も覚えてなかった。
金木犀が咲いていたのも、その匂いも記憶には残ってなかった。


あるのはまだ蒸し暑く、葬式を待つ母の身体から漏れる腐臭ととてつもない哀しみだけだった。


でも、これからは金木犀の甘い香りを嗅ぐ度に母を思い出すに違いない。
そして所々で僕らを見ていると感じるに違いない。


妻のFBにその時のiphone写真がアップされていた。

転載して、深く感謝する…。


2014年9月27日土曜日

学生監督

学生監督を侮ってはならない。

彼らは荒削りだったり迷ったりもするが、映画制作に打ち込む魂はプロ監督に引けをとらない。
私財すべてを投げ打つまでは無いと思うが、ひと月のアルバイト代くらいは平気で投げ込む。
計算づくめで生きてきた大人にはできない事だ。

どんな名監督もそんな時期があったのだと思う。
うちの監督たちから学んだ学生監督たちは、そのイズムを受け継いでいる。

世の中に出たくてもなかなか思い通りにはいかないものだが、出ようという強い信念を持たなければ決して世の中には認められない。


俳優にしてもしかりだ。
何千人といる役者達の中でひとつの役を勝ち取れるのは、たった一人だ。
演技を教えることも大切だが、俳優であり続ける生き方を教えて行く方が難しいのかも……。


2014年9月26日金曜日

ルパン三世

先日、舞台公演が終わった後、念願の「ルパン三世」を観た。
北村龍平監督はアクション映画監督としても一流だった。

彼から以前聞いた事がある。
例えセリフが無くても、アクションシーンにはそれ以上の芝居が有ると。

拳銃を向ける時の表情、その動作、戦う時に見せる闘志、それら全てにはセリフなど及びもつかない深い芝居が必要なのだと。

それは目線ひとつをとっても言えるものに違いなく、
ルパン三世の1カット毎にそれらの深い芝居は見て取れた。

小栗旬演じるルパンには大泥棒としての存在感と同時に人間としての悲哀があったし、黒木メイサは、マンガのヒロインよりもずっと魅力的な峰不二子としてスクリーンの中に生きていた。

さらに言うなら、脇を固めた悪党どもや早々に敵に殺されてしまうルパンの仲間の山口祥行もなんと魅力的だったろうか。時々見かけるヤクザ映画には無い色気と個性を発揮していて、こんなにも祥行が素敵な役者だったかと改めて感じていた。

話を北村監督の言葉に戻すと、俳優に必要なのは行動(衝動)だとも言われている。
感情を先に見つけようとするのではなく、行動が感情を呼び起こす事を俳優は忘れてはならない。

スタニスラフスキーをここで語るつもりはないが、演技を学んできた者ならジェームズ・ランゲ説に行き着く筈だ。

「おかしいから笑うのではなく、笑うからおかしいのだ。悲しいから泣くのではなく、泣くから悲しい。怖いから逃げるのではなく、逃げるから怖いのだ」

このジェームズ・ランゲ説に代表される言葉が、ルパン三世と北村作品の中には感じ取れた。

「銃を向けるから悲しみも殺意もあって、考えずに車に飛び込むから戦うのであり、見つめるから愛すのだ」
ルパン三世はそんなところだろう。

アクション映画の奥深さも演技の深淵もかつてブルース・リーが映画少年たちに教えてくれた。
北村龍平もきっとその一人に違いない……。

2014年9月23日火曜日

大原の里

大原にいる。
寂光院の近くのカフェでランチ
なのだ。

水上泰財展

兄が個展をやるといってチラシを送ってきた。


2014年9月22日月曜日

メンテナンス

公演の疲れからだろうか、千秋楽の翌日は微熱と下痢と身体が痺れたようになって十二時間ほど眠り続けた。

その翌々日に幾つかの業務を終えて京都に戻った。
戻ってからすぐにオープンキャンパスの相談ブースで受験生たちの相談を聞く。
俳優コースは全学科、全コースの中で最も倍率の高い人気コースなのだ。

それから昨日は学生監督の作品にも出演した。学生を侮ってはならない。
そんじょそこらのヘボ監督よりうちの学生たちの方がずっとうまい。
彼らは高橋伴明監督をはじめとする日本を代表する監督たちからスパルタで育てられた猛者たちなのだ。

オープンキャンパスと学生監督作品のおかげでようやくクールダウン出来たようだ。

来週には再び映画の顔合わせで東京になる。
メンテナンスを十分に、今年はまだまだ頑張るぞ!
(写真は出演の一コマから)

2014年9月17日水曜日

ありがとうございました!

Manhole Theater「タクシードライバー」はすべての公演を終えました。

皆様の温かいご支援を深く感謝致します。本当にありがとうございました!

またいつの日か、マンホールの蓋をこじ開けお目にかかりたいと思います。
それまで、皆様お元気で。

ありがとうございました!

2014年9月6日土曜日

芝居三昧

昨日は在学生の有田と卒業生の北川が出ている劇団いまそかり、今日は卒業生、日野、鳥居、赤染らが出演しているポールシフトを観た。

卒業生達は皆、それぞれ自分の道を邁進していた。
嬉しい限りだ。

芝居は命がけの遊びだと芳雄さんが言っていた。
だから命が取られそうになれば降りることも有るんだと…。

頑張れ、卒業生!
命がけで頑張れ!

2014年9月2日火曜日

洗濯

心を洗濯する前に、着る物を洗濯しに来た。
ここは大都会のホテル街、ウィークリーマンションの屋上だ。

暇に任せてぼーっと辺りを見回したが、ビルばかりで何も見えやしない。

じっと空を見あげる…。

あ、洗濯おわった。

2014年9月1日月曜日

通し稽古×2回

本日、疲れ果てています。
いや、もう明けて昨日の事ですが……。

今日の稽古は通し稽古を二度やりました。
ダメ出しはA4のダメ紙に11枚、久しぶりにこんなたくさんダメ出しを書きました。

ダメだしって、お芝居をやってる方はよくご存知だと思うんですが、芝居が出来上がって来ないと書けないんです。10日程前の通しでは3枚程度でした。

徐々に芝居が詰まってきました。
あと少しです。ここから先の稽古が面白いのだと思っています。
役者が掘り起こすものと、僕が見せたいものとがぶつかり合い、化学反応し始めるのです。

あと少しだ。
必ず成功させる……。
それだけは、絶対に通す!

チケット予約、下記URL公式HPでお待ちしています。
予約は水上扱いと書いて下さい。

http://manholetheater.wix.com/manhole-theater