観劇後、下北の民亭で一杯やろうということになり、十数年ぶりに店に入る。
二階に通されて、どこに座ればいいものかと店の指示を待っていると「ちょ、そこどいて」と迷惑そうな顔のオバちゃんが顔の前で手首を振る。
そういやぁ確かに居たかもこんな愛想の悪いオバちゃん。と、なんとなくそんな店だったのを思い出す。
あいにく餃子が品切れだったが、他のものはあるというので美味しく頂くが、こんな普通の味だったかなあと首をひねる。
考えると、確かに覚えているのは二十代のあの頃だ。
スズナリでの芝居の帰りに仲間たちと…下北で芝居を見ては仲間たちと…いつもいつも通っていた。
餃子を食って、ビール飲んで、紹興酒でベロベロなって、そんでまた明日になれば暖簾をくぐる。
民亭の味は、僕らの青春の味だったかも…。